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2026/05/10

耐震リフォーム完全ガイド!

古い家の耐震リフォーム 費用と優先順位

旧耐震基準の家を安全にするために、何から手をつければいいのか。費用相場・補助金・工事の優先順位をすべて解説します。

【重要】 国土交通省は「2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する」ことを目標としています。現在、旧耐震基準(1981年6月以前)の木造住宅は全国に約700万戸以上残るとされており、補助制度も充実しています。「いつかやろう」を「今年やろう」に変えるタイミングです。

あなたの家は「旧耐震基準」?
まず確認すべき3つのポイント

耐震リフォームを考える前に、まず自宅が「どの耐震基準で建てられているか」を把握することが重要です。耐震基準は時代とともに大きく3段階に分かれています。

区分 建築確認の時期 主な特徴 対応の目安
旧耐震基準 1981年5月31日以前 震度5強程度を想定。震度6〜7では倒壊リスクあり 耐震診断+補強が必須
新耐震基準
(81-00)
1981年6月〜
2000年5月
震度6〜7に耐える規定あり。ただし接合部・地盤調査が義務なし 耐震診断を推奨
現行耐震基準 2000年6月以降 地盤調査・接合金物・壁配置バランスが義務化 基本的には問題なし
注意:「新耐震基準だから大丈夫」という認識は過去のものです。熊本地震(2016年)の調査では、1981〜2000年建築の「81-00木造住宅」のうち約2割が倒壊したことが報告されています。1999年以前に建てられた家は「古い耐震基準の家」と捉え、一度診断を受けることをおすすめします。

確認する方法

  • 建築確認済証を確認する — 住宅の設計図書と一緒に保管されているはずです。「建築確認日」が1981年6月1日より前であれば旧耐震基準。竣工日や引渡し日ではなく「確認日」で判断するのが正しい方法です。
  • 登記簿謄本の「新築年月日」を確認する — 書類を紛失した場合、法務局で取得できる登記簿謄本で新築年月日を確認します。ただし着工日と確認日にズレがある場合もあるため、あくまで目安として使います。
  • 自治体窓口・建築士に相談する — 書類が見つからない場合、市区町村の建築相談窓口に問い合わせると、建築確認台帳で調べてもらえます。

耐震診断とは?費用と流れ

耐震リフォームの第一歩は耐震診断です。診断なしに「なんとなく補強工事」を始めると、優先順位を誤ったり、不要な工事にお金をかけたりするリスクがあります。

耐震診断でわかること

専門家(建築士)が現地を訪問し、図面調査・目視調査・床下調査を行います。調査結果を専用ソフトで計算し、建物の「評点」という数値を算出します。

評点 判定 対応方針
0.7未満 倒壊する可能性が高い 早急に耐震補強が必要
0.7〜1.0未満 倒壊する可能性がある 補強を検討(優先度高)
1.0以上 一応倒壊しない 維持管理・定期点検を継続

耐震診断の費用と無料制度

木造住宅の耐震診断費用は、一般的に10〜40万円程度です。ただし、多くの自治体では旧耐震基準の木造住宅を対象に診断費用を無料または助成しています。

💡 まず自治体窓口に問い合わせてください

「耐震診断 無料 ○○市」で検索するか、市区町村の建築課・住宅課に電話で確認しましょう。旧耐震基準の木造住宅を対象にした無料診断士派遣を実施している自治体が全国に多数あります。国土交通省の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」でも調べられます。

工事の優先順位
— どこから補強するか

耐震リフォームには「基礎・壁・屋根・接合部」と複数の工事箇所があります。予算が限られる場合、優先順位を正しく理解することが非常に重要です。耐震診断の結果に従うのが大前提ですが、一般的な優先順位は次の通りです。

① 耐力壁の補強(筋交い・耐震パネル)
地震の横揺れを受け止めるのが「耐力壁」です。古い木造住宅は壁の数が少なかったり、配置バランスが悪いことが多く、ここを補強するだけで評点1.0の合格ラインに届くケースが多数あります。最も費用対効果が高い工事です。

費用目安:25〜200万円(全体)

② 基礎の劣化修復・補強
ひび割れや鉄筋なし基礎は建物全体の耐震性を下げます。明確な劣化が確認された場合は早急に対応を。ただし外見上問題なければ後回しにできる場合もあります。シロアリ被害がある場合は最優先に。

費用目安:20〜100万円

③ 接合部の金物補強
柱と梁、柱と土台の接合部が金物で固定されていない古い住宅では、地震の際に「抜け」が発生して倒壊します。1箇所あたりの工事費は低く、費用対効果は高いです。

費用目安:1〜5万円/箇所

④ 屋根の軽量化
重い瓦屋根は地震時の揺れを増幅させます。ガルバリウム鋼板やスレートへの葺き替えで重心が下がり、倒壊リスクが下がります。工事費が大きいため、他の補強工事と組み合わせて計画的に実施するのが理想的です。

費用目安:80〜150万円

ポイント:優先順位は建物の状態によって変わります。シロアリ被害・木材の腐朽・基礎のひび割れが深刻な場合は、壁より先に基礎修復が最優先になります。必ず耐震診断を受けてから工事を計画してください。

部位別・費用相場一覧

耐震リフォームの費用は工事内容・建物規模・劣化状況によって大きく異なります。以下は木造2階建て(延床面積約100㎡)を想定した目安です。

工事の種類 主な内容 費用目安
壁の補強(筋交い) 柱と柱の間に斜め部材を追加。床・天井を開けずに施工できる工法もあり 5〜20万円/箇所
壁の補強(耐震パネル) 既存壁に構造用合板・耐震パネルを貼り付け。工期が短く費用を抑えやすい 9〜25万円/箇所
全体の壁補強(複数箇所) 建物全体でバランスよく耐力壁を増やす 25〜200万円
基礎のひび割れ補修 樹脂注入・鉄板補強など。ひびの程度で大きく変動 20〜30万円
基礎の増し打ち・ベタ基礎化 布基礎をベタ基礎に改修。大規模工事のため費用大 50〜100万円
接合部の金物補強 柱・梁・土台の接合部に耐震金物を取付け 1〜5万円/箇所
屋根の軽量化 和瓦→ガルバリウム鋼板・スレートへ葺き替え 80〜150万円
制震ダンパーの設置 壁内にダンパーを設置し、繰り返す揺れへの耐性を強化 100万円前後〜
耐震診断費用 専門家による現地調査・評点算出(自治体の無料制度あり) 10〜40万円

工事パターン別・総額の目安

パターン 工事内容 総額目安
部分補強(最小限) 壁補強のみ数箇所+金物補強 50〜100万円
標準補強 壁補強(全体)+基礎補修+金物補強 100〜200万円
全体補強 上記+屋根軽量化+制震ダンパー 200〜350万円
大規模フルリノベ同時 内装・設備改修も同時実施 500万円〜

木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)の調査では、約55%の人が200万円未満で耐震補強を完了しており、そのうち最も多いのが100〜150万円のケースです。旧耐震基準の住宅は新耐震基準と比べて平均で30〜40万円ほど費用が高くなる傾向があります。

補助金+減税で「実質負担額」はいくら?

耐震リフォームは複数の補助・減税制度を組み合わせることで、自己負担を大幅に圧縮できます。多くの人が活用していない制度が残っているのが現状です。

主な制度一覧

制度名 窓口 補助額の目安 主な条件
自治体の補助金 市区町村 30〜100万円以上 旧耐震基準の木造住宅が多い。工事前の申請が必須
長期優良住宅化リフォーム推進事業 国(国交省) 上限100〜200万円 耐震+省エネなど複数の性能向上が条件。費用の1/3補助
所得税の特別控除(耐震) 税務署 最大25万円控除 1981年5月以前の住宅が対象。工事費の10%を所得税から控除
固定資産税の減額 市区町村 翌年1年間1/2に減額 旧耐震→現行基準へ適合させた場合
リ・バース60(融資) 住宅金融支援機構 月々は利子のみ返済 60歳以上向けのリフォームローン。耐震改修も対象

シミュレーション:150万円の耐震リフォームを実施した場合

📊 実質負担額シミュレーション(例)
工事総額(設計費含む)
150万円

自治体の補助金(例:工事費の1/2)
▲ 75万円
所得税の特別控除(工事費の10%)
▲ 15万円
固定資産税の減額(1年間)
▲ 約3〜5万円

実質自己負担額(概算)
約55〜60万円

自治体の補助率や補助上限は自治体によって異なりますが、旧耐震基準の木造住宅を対象にした制度では工事費の1/2〜2/3を補助する自治体も珍しくありません。複数の制度を上手に組み合わせることで、100万円以上の負担軽減になるケースもあります。

重要: 補助金は工事を始める前に申請することが必須です。工事後に申請しても補助を受けられないことがほとんどです。まず自治体窓口で制度の有無と申請スケジュールを確認してから業者を選定しましょう。

他のリフォームと同時施工でコストを下げる

耐震リフォームは、他のリフォームと同時に実施することで費用を抑えられます。一般財団法人日本建築防災協会の調査でも、単体で実施するより同時施工のほうが費用対効果が高いという結果が出ています。

耐震リフォームと相性のよい同時施工の例
  • 断熱リフォームとの同時施工 — 壁を開ける際に断熱材を充填できるため、単体でやるより割安。省エネ補助金との併用で補助額も増える可能性あり。
  • 水回りリフォームとの同時施工 — キッチン・浴室・洗面所の更新工事の際、壁・床を開けるタイミングで耐震補強を行うと足場や解体費用が一本化できる。
  • 屋根塗装・葺き替えとの同時施工 — 屋根工事の足場をそのまま外壁補強にも活用。足場費用(10〜20万円)を節約できる。
  • バリアフリーリフォームとの同時施工 — 親世代の住宅をバリアフリー化するタイミングで耐震補強も実施。補助金制度を組み合わせやすい。

よくある質問(FAQ)

耐震リフォームの費用はいくらかかりますか?
木造住宅の場合、部分的な補強のみであれば50〜100万円、一般的な全体補強では100〜200万円が目安です。築年数が古い(特に昭和40年代以前)住宅や、シロアリ被害がある場合は200〜350万円以上になるケースもあります。木耐協の統計では、約55%が200万円未満で完了しており、最多は100〜150万円のケースです。
耐震リフォームで一番優先すべき箇所はどこですか?
一般的には耐力壁(筋交い・耐震パネル)の補強が最も優先度が高く、費用対効果も高い工事です。古い木造住宅は壁の少なさや配置バランスの悪さが弱点になっているケースが多く、ここを補強するだけで耐震評点1.0の合格ラインに届くことがあります。ただし、シロアリ被害や基礎のひび割れが深刻な場合はそちらが最優先です。耐震診断の結果に従うのが最も確実です。
1981年以降に建てられた家は耐震補強は不要ですか?
必ずしも不要とは言えません。1981〜2000年に建てられた「新耐震基準」の住宅も、2000年に義務化された地盤調査・接合金物・壁配置バランス計算が行われていない場合があります。2016年の熊本地震では、この時期に建てられた木造住宅の約2割が倒壊したというデータもあります。特に木造住宅で不安がある方は、耐震診断を受けることをおすすめします。
住みながら工事できますか?
部分的な壁補強や金物補強であれば、住みながら工事できる場合がほとんどです。工期は数日〜2週間程度が目安です。全体的な大規模補強(スケルトン工法など)の場合は仮住まいが必要になることもありますが、事前に業者と相談することで最小限の影響で進めることができます。
補助金はいつ申請すればよいですか?
ほとんどの補助金制度では、工事を始める前の申請が必須です。工事後に申請しても補助を受けられないため注意が必要です。また、各自治体で年度ごとに予算が決まっており、年度の早い段階で受付終了になることも珍しくありません。「やろうと思ったときにはもう締め切っていた」という失敗を避けるため、春先(3〜5月)に確認を始めることをおすすめします。
耐震・制震・免震の違いは何ですか?
耐震は建物そのものを頑丈にして揺れに耐える方法。制震はダンパーで揺れのエネルギーを吸収する方法で、繰り返す余震に強いのが特徴。免震は建物と地盤の間に装置を入れ、揺れを建物に伝えにくくする最も効果が高い方法です。コストは免震>制震>耐震の順で高くなります。古い木造住宅の場合、まず耐震補強で評点1.0を確保し、余裕があれば制震ダンパーを追加するのが現実的です。

まとめ:最初の一歩は耐震診断から

この記事のポイント
  • 1981年6月以前に建てられた家は旧耐震基準。1981〜2000年の家も油断は禁物
  • 耐震リフォームの費用は部分補強で50〜100万円、全体補強で100〜350万円が目安
  • 工事の優先順位は「壁(耐力壁)→ 基礎 → 接合部 → 屋根」が基本
  • 自治体補助金+国の制度+減税を組み合わせると、自己負担を大幅に抑えられる
  • 補助金の申請は工事前が必須。年度初めに確認を始めることが重要
  • 断熱・水回り・バリアフリーと同時施工するとコストダウンになる

地震はいつ来るかわかりません。能登半島地震(2024年)や過去の大地震でも、旧耐震基準の建物に大きな被害が集中していることが繰り返し確認されています。「家族の命を守る家」にするための投資として、耐震リフォームを前向きに検討してみてください。

まずは耐震診断から始めましょう。多くの自治体で無料または助成対象になっています。

 

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